2015年9月3日木曜日

高齢化する日本社会

コンピュータ通信の普及によって、情報を扱う産業は、大きな変革を要求される。流通サービス業は、そのような影響が最も端的に現われる分野の一つだ。多くの企業が、インターネットに新しいビジネスの可能性を見出そうとしている。この分野では、適切な条件が整備されれば、爆発的な進歩があるだろう。

また、ネットワーク化の進展が規制を無意味にする可能性もある。インターネットで国境をこえる取引が増大すると、経済活動に関する国内の規制で無意味になるものも出てくる。これは、従来は規制で守られてきた産業に対して大きな影響を与える可能性がある。日本経済の高コスト構造を変化させるきっかけも、ここに見出せるかもしれない。

つまり、問題は、技術的な可能性の拡大に経済的社会的な要因が対応できるかどうかなのである。変化に対応できれば大きな将来が拓けるだろう。逆に対応ができなければ、日本は世界の潮流に取り残されるだろう。日本がそのどちらに向かうか?これが二一世紀の日本の姿を決めることになる。

将来人口の推計は、さまざまな政策の基礎となる非常に重要なデータである。これから数十年間の日本では、急速な高齢化が進むために、とくに重要な意味をもっている。厚生省の社会保障・人口問題研究所は、一九九七年九月に新しい将来人口推計を発表した。それによると、前回の推計(九二年推計)に比べて、人口高齢化がさらに進むという結果になっている。

六五歳以上人口が全人口に占める比率は、二〇〇六年に二〇%を突破し、二〇一五年に二五・二%、二〇四九年にはピークの三二・三%にまで上昇すると予測されている。推計見直しのポイントは、合計特殊出生率(一人の女性が一生の間に産む子供の数)の見直しである。九二年に行なわれた前回推計では、合計特殊出生率が九四年に一・四九まで下がったあと上昇に転じ、二〇二五年には一・八〇にまで回復するとしていた。しかし実際は九五年に一・四二まで下がり、回復していない。今回の推計では、二〇〇〇年に一・三八まで下がるが、その後は上昇して二〇二五年には一・六一まで回復すると仮定している。