2015年3月4日水曜日

中間所得層に見合う商品

当社は先進国市場を中心に、何十年も事業展開してきました。高付加価値、高機能、高価格商品を、富裕層向けに売っています。技術力を誇示する製品を開発し、今日の地位を確保してきました。私が社長になって、1年半くらいして、役員会で中国進出を意思決定しました。研究開発拠点は、一部海外にありますが、ほとんど日本で差別化する商品を開発してきました。これからは、新興国市場が世界を牽引します。GDPが年2~3%という低い成長率の先進国に対し、中国は約10%、インドも中国に次ぐ成長率か見込まれています。ブラジルでは、ワールドカップ、オリンピックが予定されています。そのため、官民一体となった大型プロジェクト物件が増えています。また、経済発展に伴い、中間所得層が増えることでボリュームゾーンの販売が拡大し、世界を牽引していくでしょう。だからこそ、新興国市場を攻めるのです。ボリュームゾーンに焦点を合わせるのです。

あらゆる業種が「新興国」と「環境」で事業を発展させようとしています。当社は遅まきながらブラジルに出て、トルコ、インドネシアも視野に入れています。この辺りでは、高級機、高機能、高付加価値、高いコストで売るビジネスは絶対に成立しません。新興国の時代が来たのです。中間所得層に見合う商品を常に開発し、ボリュームゾーンで稼ぐためにどうしたらいいかを考えています。簡単に新興国、アジアと言いますが、開発拠点をどうするかという問題もあります。アジア、新興国といっても、シンガポール、韓国、台湾から、ミャンマー、カンボジアまであります。シンガポールは人口470万人、中国は13億人、インドは10億人。習慣、歴史、生活様式が違います。その人たちに、カスタマー・イン、好みの商品をローコストで作っていきます。

そうしないと絶対に勝てません。当社が一番、避けてきた苦手な世界なのです。しかし、韓国のサムスンはすでに実行しています。サムスンでは、韓国人社員が中心となって、皆で現地に行き、現地の人材を活用しながら、その市場で求められるものを開発、販売しています。特に新興国での事業拡大のために、その地域の文化・習慣を身にっけるまで理解させる「地域専門家」を育成しています。新興国の国別’地域別商品こそ、マーケティング機能、開発機能を、これまで以上に「現地最寄り化」していくことが必要です。