2014年10月3日金曜日

動物や植物とともに命を大切にして生きる

このようにみてくると、一般の市民や若者にとっての豊かさとは、地球市民としてすべての人が共通に持っている、ある「生き方」の実現なのではないかと思えてくる。それはアフリカの飢餓救援のため、世界を結んで行われたロックーコンサートの大合唱、「ウィーアー・ザーワールド」の歌を思い出させるものがある。ぼくらが世界。希望の未来をつくるのはぼくら。いま救援の手をさしのべるのはだれのためでもない、ぼくら自身のため。

アフリカの飢餓救援のため、延ベー六時間におよぶ大がかりなロックーコンサートが、一九八五年夏、ロンドンとフィラデルフィアの会場をテレビで結んでおこなわれ、世界中に中継された。「ライブーエイド」と名づけられたこの催しをよびかけたのは、アイルランドのロックースター、ボブ・ゲルドフである。コンサートは、ロンドン会場で人気バンド、ステータスークオによる「ロッキンーオールオーバー・ザーワールド」の演奏ではじまり、フィラデルフィア会場での「ウィーアー・ザーワールド」の大合唱で終わった。

テレビ放送中にくりかえし寄付のよびかけがおこなわれた。主催者の発表によると、放送料、入場料、電話による寄付申しこみをふくめ総額五〇〇〇万ポンド(当時の為替レートで換算、約一六五億円)ものばくだいな救援金が一度きりのマラソン公演で集まった。コン サートは通信衛星を利用して日本にも生中継され、募金の訴えに応ずる視聴者からの電話が放送局に殺到した。

また、もっと幼い子どもたちの声を集めたヘレンーエクスレイ編『美しい地球をよごさないで』その本には世界の七十力国以上の子どもたちの文章や絵がまとめられており、その前書きには、国がちがっても、子どもたちの考えていることは、みな同じでした。五〇〇〇にものぼる子どもたちの作品の中で「人間が生きるためなら、何をしてもいい」といっている作品はひとつもありませんでした。どの文章や絵からも、命あるものを大切にし、いつくしみ、この美しい地球をみんなで共存できる世界にしようという思いが伝わってきます。というエクスレイの言葉が書かれている。

子どもたちが、そこで語っている豊かさや、しあわせの意味は、開発による環境破壊や戦争や核による恐怖をなくして、動物や植物とともに、命を大切にして生きること、つまり地球の豊かさである。それは、最大限に多くのものが大切にされ、生きていくこと、を意味している。「しあわせとは、まわりのものを大切にすること、できるだけ傷つけないようにすること。ただたんに、ものを大切にすることなんです」「わたしは、らっぱずいせんがさいているだけで、しあわせ」