2014年8月6日水曜日

日本を再興できるほどの重要な改革

日本人の法律に対する、盲信と言ってもよいくらいの過剰な信頼である。まるで宗教でもあるかのように、一度決めたらいっさい変えない、いや変えてはならない、と思っているのではないか。法律とは政策であり、人間の考えたものである以上、完全ということはありえない。それゆえ、法律は通っても、その後には微調整が必要なのは当然のことなのだ。法律を通すことでの国家改革と、個人のダイエットは完全にちがうのである。ダイエットならば、微調整しながら進むのが、健康を損わないで成功する唯一の道だが、改革はこの反対で、まず先に大筋を変え、その後で微調整するという順序にしないと効果がない。

とは言ってもダイエット型の改革でもよい場合があるが、それは安定成長期にしか許されない贅沢である。小泉純一郎を首相にしたのは、彼を総裁に選んだ自民党員でさえも、このまま行けば日本は安定成長も享受できなくなるという、危機意識をもったからではなかったのか。それなのに、今になって反対と言う。これくらい、大同を忘れ小異しか見ないこともないのではないかと思う。郵政民営化は、やり方しだいでは日本を再興できるほどの重要な改革であると思っている。有事立法のときのように、民主党も対等な立場で参加しての共同提案になれば、どんなに良いかと思っていたのだ。だが、今からでも遅くはない。もしも総選挙で、郵政民営化賛成派が勝ったとしたら、そのときこそ民主党は積極的に参加すべきである。大筋改革後に来る微調整が、良い方向でなされるためにも。

前略 勝負に打って出てお勝ちになったのですから、さぞや御気分が良ろしいことでしょう。ヨーロッパのマスコミの見出しもほぼ一致して「日本は改革を選んだ」と、九月十一日の総選挙の結果を報じていました。私かあなたに最初に注目したのは、今から七年前、厚牛人臣をしていらした時期のあなたが『新潮45』誌上に書かれた一文からです。その文は国会議員が在職二十五年を過ぎるともらえる永年勤続表彰を辞退なさったことから始まっていたのですが、それを読んだ私は、この人は健全な常識の持主なのだと思ったものでした。

なぜなら、まだ国会議員として給料を受けていながら、在職二十五年を過ぎると特別手当ても月々三十万円受けられるとは、あなたも書かれたように、国民に行政改革を訴えている政治家としては変だ、となります。しかも、これが書かれた一九九八年ですでに、特別手当てをもらいつつ議員の給料を手にしているのは、衆議院に六十一名、参議院に七名もいて、その特別手当ての総額は二億五千万にもなるとのこと。その中には森喜朗、小沢一郎、土井たか子もいるから、これはもう、既得権に浴せるならばもらっちやうというのは、保守も革新もないとわかったのでした。

そして、あらためて七年前にあなたが書かれたことを読み返してみてわかったのは、あの頃からずっとあなたの軸足はブレていない、ということです。いくつか抜粋すれば次のようになります。「これからの最大の政治課題は、何といっても行財政改革である。行財政改革というのは、これまでの既得権を手離さなければできない仕事である。そしてそれには、どうしても国民の痛みがともなうことになる。政治家は、今こそ身をもってそのことを示し、理解してもらう時でもあると思うのだ」